Netflixで配信中の中国映画「僕らの先にある道」(原題:后来的我们/Us And Them/Hou lai de wo men)を観ました。
中国の大晦日に帰省する電車の中で出会った男女。その後二人の10年間の愛と別れ、再会を描いていく物語。
「LoveO2O」でジン・ボーランの雰囲気に魅了されこの作品も観てみたのですが、心に残るとても良い映画でした。
Contents
僕らの先にある道 作品情報
製作国:中国
ジャンル:ラブロマンス
監督:レネ・リウ
上映時間:120分
僕らの先にある道 キャスト
- ジエンチン役(ジン・ボーラン)
- シャオシャオ役(チョウ・ドンユイ)
- ジエンチンの父親役(ティエン・チュアンチュアン)
僕らの先にある道 あらすじ・予告
あらすじ
2007年大晦日。故郷に帰省する列車の中、男子大学生のジエンチンは切符を無くして困っている女性シャオシャオを助けた事で二人は知り合う。同郷という事もあり、その後も二人は友人として仲良くなっていく。ある日彼氏と別れたシャオシャオはジエンチンの住むアパートに転がり込み、二人の同居生活が始まる。そのうちジエンチンはシャオシャオの事を女性として意識し始めるが、シャオシャオの理想は安定した仕事と家、そして北京戸籍を得られる男性と結婚する事だった。貧乏で安定した仕事もないジエンチンは友人のまま。だがシャオシャオは理想だった男性に騙され、ある大晦日の夜、遂にジエンチンとシャオシャオは結ばれる。しばらくは幸せだった二人だが、貧しく先の見えない暮らしで徐々に心がすれ違い始め…。そして10年後、飛行機で偶然二人は再会する。
感想(ネタバレなし)
ジン・ボーラン目的で見始めたものの、ストーリーにグッと引き込まれました。
恋愛映画の中でも心に残る秀逸作品だと思います。
ラストには自然と涙が溢れました。
ジエンチン
ゲーム制作をしている大学生ジエンチン。卒業後にも故郷に帰らず北京で生活しているが貧しい暮らしから抜け出せない。故郷では食堂を営む父親が一人暮らししている。
この映画でますますジン・ボーランの魅力にハマりました。
ルックスも好みなのですが、それよりもその演技に魅了されます。
「LoveO2O」でも感じたのですが、目が物語っているというか、視線が熱い。
セリフが無い時の表情がとてもリアルで、感情が溢れるように伝わってくる俳優さんだと思います。
「LoveO2O」ではあれ程イケメンでカッコイイ役だったのに、本作ではダサダサの大学生から、卒業後も貧乏なダメ男を演じているのですが、これがまた自然で馴染んでいる!
髪型やメイクで大きく印象が変わる俳優さんでもありますよね。
シャオシャオ
田舎から北京に上京してきて4年になるシャオシャオ。高学歴で家と北京戸籍を与えてくれる男性と結婚するのが目標。列車でジエンチンと出会い友人関係になる。
シャオシャオ役はチョウ・ドンユイ。
可愛いのですが、私はシャオシャオには共感出来なかったなぁ…。
やや小悪魔的な雰囲気で、天真爛漫で明るくて、「高収入で家もある男でないとダメ!」と言い切ってしまうようなタイプ。
私はあまり好きなタイプの女子ではなかったものの、このシャオシャオだからこそジエンチンを夢中にさせ、この映画の危うさと純粋さが表現出来たのだろうとも思います。
10年前の二人
物語は10年前に二人が列車で出会うところから始まります。
その後二人は友人関係が続くものの、彼氏と別れた事がきっかけで、ジエンチンの住む狭いアパートに転がり込んできたシャオシャオ。
ジエンチンはシャオシャオに心惹かれていきますが、シャオシャオの理想とは程遠い自分は常に友人として見守ります。
徐々にシャオシャオを意識しつつも、こうして背を向けて寝ようとするジエンチン。
暗くて狭いこの部屋で、恋人未満の微妙な二人の関係が上手く表現されていて、見ていると部屋のこもった匂いまで伝わってきそうなリアルさがありました。
二人だけの物語ではない
この映画の登場人物は少ないです。
友人などは多少登場するものの、メインは主役二人と、ジエンチンの父親のみ。
なので一見、男女二人のラブストーリーだけのように思うのですが、ジエンチンとシャオシャオの貧しいながらも必死に愛を守ろうとする姿は、ただのラブストーリーではない、貧しいながらも今を生きる全ての人々に対するメッセージを感じました。
↑このように薄い壁で区切られた狭いアパートで色んな人が色んな人生を生きているのです。
この構図が映し出された時、何だか胸が締め付けられるような感情が沸き上がりました。
感想(ネタバレあり)
↓以下ネタバレあり
貧しくも幸せな暮らし
その後二人は両想いになり付き合い始めるのですが…。
▲このシーンが凄く可愛くて美しく心が温まる!
あれ程、安定した生活を与えてくれる男性との結婚を夢見ていたシャオシャオが、全く真逆の何も持っていないジエンチンを選んだのです。
二人で一皿の麺を食べるのも幸せ。
でも私は二人が純粋に愛し合うほどに、見ていて切なくなりました。
愛が大きくなればなる程、相手をもっと独占したくなり、そして相手への責任感も強くなっていくからです。それに見合う自分なのか?そんな葛藤が始まります。
10年後の二人
この映画は10年前の二人と、10年後に再会した二人が交互に映し出されストーリーが進んでいきます。
10年前のシーンはカラーで、10年後の現在のシーンはモノクロ。
10年前のある時、ジエンチンが作っているゲームのキャラクター、イアンとケリーについてシャオシャオが「イアンとケリーが再会しないとどうなるの?」と質問します。
するとジエンチンが答える。
「イアンがケリーに会えないうちは世界から色が消える」
まさにその色が消えた世界が、現在のジエンチンとシャオシャオの再会シーン。二人にとって、互いがいない人生は色のない世界なのです。
今でも互いに想い合っているのに、再会しても本当の気持ちが言えなくて、ジエンチンの指に光る結婚指輪を見た時には私まで心が痛みました。
さらに子供との電話シーンは辛すぎる…。
そして今度こそ本当に最後の別れとなった二人。
悲しい別れのはずなのに、なぜか心が温かくなる良い別れのシーンでした。
そしてモノクロだった現在の世界が、カラーになった瞬間、あぁ…やっと二人は別々の道に進めるのね…と胸がいっぱいに。
このようにモノクロとカラーで現在と過去、心の変化を表現しているあたりが素晴らしかった!
父親の存在
そして何よりも感動するのがラストの父親の手紙。
親の愛情の深さをジワジワ感じさせる手紙で、それもジエンチンではなくシャオシャオ宛というのが泣かせる。私はこのシーンで自分の親を思い出し、涙が止まりませんでした。
年老いた父親は田舎で食堂を営み、大晦日に息子が帰省するのを待つだけ。そんな父親を疎ましく感じてしまう瞬間もあり、冷たくしてしまった息子の後悔。
「親は子供が誰と結婚しようが成功しようがどうだっていい。健康で自分らしい人生を送れれば」
この父親の言葉にこの映画の全てが詰まっているような気がします。
映画の中で父親のセリフや登場シーンはそれ程多くないものの、この映画の根底にある深い愛情は父親の存在があってこそ。
絶対見るべきエンドロール
そして絶対に見なくてはいけないのがエンドロール。
一般人が過去の相手にメッセージを送る映像が流れますが、これもなかなか良いものの、そこで見るのをやめてはいけません!
この一般人の映像の後、ラストにジエンチンから父親に向けた手紙のシーンがあります。
これが…号泣!
最後まで観終わった後、この映画は恋愛映画であり、家族の物語でもあったのだと気付かされ、ジワジワと熱いものが沸き上がってきます。
心に響く名言
前述したように、この映画は心に残る言葉が多い。他にも、
「君のために天に昇って月を取るか?」
ジエンチンがシャオシャオに、彼氏は本当に君を大切にしてくれるのか?と聞いた時のセリフ。
文字で読むと臭いセリフのように感じますが、実際そのシーンの二人の空気感やジエンチンの切ない表情が胸にグッときます。
さらに、
「どうしてこの世には最初から最後まで幸せな物語がないのかな」
という二人の会話。二人の関係の危うさを感じさせ、一緒にいるのに不安になる瞬間。
そしてラストのメッセージ。
ごめんの一言は大切な人を失う前に
愛しているの一言はまだ間に合ううちに
生きていく上で何が大切なのか?深く感じさせてくれる映画でした。
僕らの先にある道 メイキング
メイキングというかジンボーランがメインのスペシャル映像ですが…。
この映像を見るだけで熱が伝わってきてやっぱり魅力的、ジンボーラン。
今、映画「シャドウプレイ」が見たくて仕方がないです。
まとめ
男女の出会いから別れ、再会の10年間を描いたよくあるストーリー。なのに他とは違う心に突き刺さるものがあります。中国のローカルな雰囲気、主演二人のリアルな演技、物静かでありながら圧倒的な存在感を残した父親、印象に残るセリフの数々…全てが素晴らしいです。う~ん、この雰囲気は中国映画にしか出せないなぁ…と改めて中国映画の良さを強く感じた作品でした。
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(本記事の画像引用元全て:Netflix)