Netflixで配信中の中国ドラマ「鳳凰の飛翔」(原題:天盛長歌/The Rise of Phoenixes)を観ました。
皇位争いの中、真実を暴こうとする皇子と、宮廷に入り官吏となった女性の歴史ロマンス。
良いドラマを見る度毎回思うけど、今まで見ていなかったのが悔しいぐらい、素晴らしいドラマでした。
Contents
鳳凰の飛翔 作品情報
製作:中国
ジャンル:歴史、ラブロマンス、ヒューマン
監督:沈严、刘海波
話数:全70話
鳳凰の飛翔 キャスト
- 寧弈役 第六皇子(陳坤 チェン・クン)
- 鳳知微役(倪妮 ニー・ニー)
- 天盛皇帝役(ニー・ダーホン)
- 寧川役 第一皇子(ハイ・イーティエン)
- 寧昇役 第二皇子(シー・アン)
- 寧斉役 第七皇子(曲高位)
- 辛子硯役(チャオ・リーシン)
- 南衣役(バイ・ジンティン)
- 赫連錚役(チャン・シャオチェン)
- 趙淵役(ホウ・イエンソン)
鳳凰の飛翔 あらすじ・予告
あらすじ
天盛皇帝の第六皇子、寧弈(チェン・クン)は8歳で母親を亡くし、第三皇子寧喬に親代わりとして愛情を注ぎ育てられた。しかし第一皇子寧川の陰謀により、第三皇子は殺害され、寧弈も無実を罪をきせられ宗正寺に囚人として幽閉されてしまう。そして8年後、宗正寺から出る事が出来た寧弈は皇太子となった寧川への復讐と第三皇子の冤罪を晴らすため策略を練る。
そんな時寧弈に、秋尚奇の娘玉落との婚姻話が持ち上がるが、先の命も分からない不安定な寧弈に嫁がせるのが不安な秋尚奇は娘ではなく姪の知微(ニー・ニー)を身代わりに嫁がせようとする。それがきっかけで知り合った寧弈と知微がその後様々な事で関わり助け合ううちに、お互い心惹かれていくのだが…。
感想(ネタバレなし)
超絶ドハマリ!
圧巻、言葉が出ない。この一週間ほど、毎日このドラマを見続けどっぷり世界にハマっていました。
全70話という長さ。
中国ドラマ初心者の私としては、見る前には怯む話数でしたが、見始めたらもうその面白さの虜です。
最近中国ドラマを見るようになったものの、まだまだファンタジー濃いめの歴史はやや苦手。ド派手な映像や安っぽいCGなどで白けてしまいリタイアする事もしばしば。
なのですが、このドラマは同じ中国歴史ドラマでも全く別物!!!
中国はドラマによってこれ程クオリティに差があるのかと実感しました。
脚本、映像、演技、どこから見てもレベルが高く、私の中では韓中洋問わず今年見たドラマの中で2位3位を争うドラマでした!(1位違うんかい)
第六皇子 寧弈
何といってもこの寧弈を演じるチェン・クン!!!
あ~!!本当に素晴らしいです!
圧倒的な存在感とその色気。
演技が上手いなんて一言では足りず、全身から溢れ出すフェロモンが凄い~!
演技に余裕があるというか、寧弈の人をくったような態度や、内に秘める闘争心、皇子としての凛々しさなど、その全てが表情一つで表現されていました。
寧弈の「ん~?」っていうあの返事の仕方がたまりません!
観終わった後に漁るようにメイキングを見ましたが、普段の姿だとそこまで魅力は感じないですが(十分素敵ですけどね)、寧弈の時のチェン・クンは魅力がダダ漏れしています(笑)
40代とは思えない!
知微
そしてこちらもチェン・クンに負けておらず、知微がハマリ役だったニー・ニー。
彼女もメチャメチャ良かったです。
私は「運命の桃花」を早々にリタイアし、少し前に「up in the wind」も観たのですが(ジンボーラン目的で)、どちらもニーニーちゃんの良さが感じられず…。
なのですがこのドラマのニーニーは彼女でないとダメだと思う程ピッタリ。
長身で細身のスタイルで、美しい衣装が引き立つし、何より中世的な顔立ちなので中盤までの男装に違和感がない。かといって男に見える訳ではなく男装をしていても美しさや可愛らしさを感じる魅力があります。衣装は後半になる程美しく豪華になっていくので必見!知微の衣装はどれもセンスが良くて品がありすっごく素敵なのでそれも見どころ。
それに、こんなに演技が上手いのね…と改めて感心する程、前半の元気で無鉄砲な女性から、後半の感情を殺した表情までニーニーの演技が良かったです。
キャスト全員が素晴らしい
登場人物は物凄く多く、後半には前半の登場人物を忘れてしまう程(笑)
でもその全ての登場人物が自分の役を全うしていて、全員演技が素晴らしいです。見ているうちに情が湧くキャラ多数。
(※キャラについての感想は後のネタバレ感想に)
映画のようなドラマ
1話ごとのクオリティが高く、ストーリーも内容が濃いので早送りや、ながら見なんて絶対無理。それどころか、字幕に追いつけずに名前を見逃したら意味が分からなくなる事多々…なので何度巻き戻した事か。
まるで小説をじっくり読むようにセリフを一つ一つを丁寧に聞きながら(読みながら)観たのですが、そのセリフがまた詩的であったり、言葉の裏に含まれる意味だったり、切なくも心に響くのです。
派手過ぎると映像が安っぽくなってしまいますが、このドラマは衣装や調度品など全てが落ち着いた雰囲気。それでいて品の良さと高級感があり、ドラマ全体の雰囲気はまさに映画。
脚本の面白さ
そして登場人物はほとんどおじさんばかり(^^;)
寧弈は超絶美男子ですが、他の主要人物はおじさんが多い上に、王宮内は皇位争いにまみれてどれもこれも悪役に見えてきます。
これでストーリーが面白くなかったらすぐリタイアしそうですが、これが!見れば見る程、どんどん話が面白くなってくるのでおじさん達の策略や騙し合いから目が離せない。
さらに知微が男装し、宮廷で男性として皇帝に仕える身分となり活躍していく様子が面白い時もあれば、いつ女性だという事がバレるのか?というハラハラが中盤でピークに。
そして寧弈と知微の恋模様も、話数が進むにつれて切なさが増します。
総評
あと2~3回は見直したいドラマ。
多分抜け落ちたり、理解できてない部分がありそう。
なのですが、これほど胸躍り、心揺さぶられるドラマは久々でした。
大泣きするような感動とは違い、名作を見た…と唸るようなドラマです。
派手さはないのに重厚感があり、灯篭の明かりが作る陰影や調度品の隅々まで拘りを感じる美術映像。淡々と語る口調やセリフの無い表情から伝わる感情。言葉の裏に含ませた意味。
それらを感じ取る度にこのドラマの世界にハマっていきます。
後半はやや話が広がり過ぎたり、詰め込み過ぎ?え?そんなのあり?な展開がありますが、ストーリー全体を通しての内容や役者達の演技が圧倒的に素晴らしいので、多少引っ掛かる点があっても許せてしまう程見応えのあるドラマでした。
感想(ネタバレあり)
↓以下ネタバレあり
皇帝と皇子達
全体的に良かったドラマですが、策略のせめぎ合いは特に前半が面白かったです。
皇太子が失脚するまでが最高に良かった。
▲皇太子 寧川
この寧川、最初は頼りなくて二皇子や五皇子の言葉に振り回されているようにも見えて、これでも皇太子か?という感じだったのが、いよいよ寧弈と直接対決となってきたらさすがに汚い部分が見えてきて…
なのですが、この皇太子って最後まで憎み切れない良いキャラだったと思うのです。
父親に認めてもらいたい、無条件で親から愛情を受けられない皇子達の哀しさを感じました。
あと、絶対外せないのは父陛下。
メチャメチャ味のある演技で圧巻でした。
寧川に引き続き、憎み切れないキャラ2号。
皇帝としての人を切り捨てる姿にムカムカさせられる時も多かったけど、時々父親としての顔を見せたり、皇帝の孤独さを感じさせるから憎むというより、皇帝って可哀想…と思わせられました。
この憎み切れない二人に反して、こんな嫌な奴だったのか~!なのが七皇子、寧斉。
その悪質さに気分が悪くなる程で、同じ悪役でも救いようがない。
この七皇子に比べれば、最初の一、二、五の皇子達は可愛げがあった…。
愛すべきキャラ
あとこちらは印象的な愛すべきキャラ達。
陛下を傍で支え続ける趙淵。このドラマを見た誰もが好きになるでしょう。
穏やかな人物で常に空気を読み、あんな横暴な陛下の傍で耐えられるのはあなたしかいない。
あと、寧弈を支える人達もみんな良くてこのまま寧弈を守り続けて欲しい。
で、最初はちょっと苦手…な雰囲気だったこの赫連錚も、いい人過ぎる。挙句の果てには利用されて殺されて、残念な役としか言いようがない。
二人の母親
そして、悪くないけど何だか好きになれなかったのは、二人の母親達。
どちらの母も母親としてより、過去に囚われて結局その子供も犠牲になっているようにしか見えず…。
いつも子供扱いされていた鳳皓が最期に「これで二度と私に隠し事は出来ないな」と言うのが哀れで悲し過ぎた。
目の保養キャラ
そしてこの南衣。
このおじさんばかりの中に突如韓流スターが混ざったようなアイドル担当?
これは視聴者サービスか?と最初は「可愛いな~」と目の保養に見ていましたが、何の何の、十分この美しいお顔で南衣を演じ切り、女装シーンもしっくり似合い過ぎていました(笑)
で、私、この南衣はもっと意味のあるキャラだと思っていたんです。
あの出会った頃に話していた「同じところにほくろがあるね~」は何だったの?
いつか後半で、大成の遺児は双子で、知微と南衣が双子でした~みたいな展開を期待していたのですが、全く違う方向にいってしまい、南衣は単なるボディーガードで終わってしまい残念。
その上登場した知微の実の兄というのがどう見ても知微に似ていない小太りなおじさん(涙)
物語上は前触れもなく登場した兄と妹にすんなり感情移入させていましたが、見ているこっちは全く兄を兄だと思えず…。
さらにその兄は妹(知微)を利用するだけで情を感じず、こんな事なら南衣との双子設定にして欲しかった!その方がぐっと面白くなると思うんだけど?
辛子硯との関係
そして寧弈と辛子硯の関係。
寧弈、酷すぎるでしょ!
寧弈が母親と再会してから、寧弈の頭の中は母との穏やかな暮らしの事でいっぱいで、庶民に戻ると言った時の辛子硯の気持ちを想うと寧弈が腹立たしい!マザコン度が酷すぎる。
この辺りから徐々に私の中で寧弈ポイントが下り始め、ちょっと自己中過ぎるんでない⁉とイライラが増してきました。そりゃ辛子硯も見放すわ~みたいな。
皮肉にもラストで辛子硯に「気力も意志もなく庶民になりたい」と言われてしまい、自業自得。
でも単純に美しい友情や師弟のような関係で終わらせるのではなく、後半で二人の関係が変化していくというのが奥深くてドラマとして見応えがありました。
ストーリー全体
私が最初に感動したのが、第三皇子の寧喬が皇太子として荘毅皇太子に追号されるシーン。
寧弈の感情が噴出した表情がたまらなく、私がこのドラマで一番涙した場面でした。今までの苦しみが報われた。まだ21話なのに早くも心鷲掴み⁉と思った瞬間。
あと、知微が女性だと陛下にバレた42話、43話は最高に良くて身を乗り出して見ました。
寧弈が知微を助ける為に、妊婦になるか寧弈に罪をきせるかの二択を提案する場面。どんなラブシーンよりもジンジン響きます。
このドラマって抱き合うとかキスシーンは少ないけれど、そんな事よりもこういう会話だったり、寧弈が救うために剣で知微を切りつけるシーンだったり、そういったシーンの方がずっと熱くて胸に迫りました。
▲少ない幸せシーン
そして母と弟が死に、赫連錚の妻になると決め、寧弈に別れを告げるあたりまでがこのドラマのピークに感じたかな。
その後も寧弈と知微の関係はずっと切なくてドラマとしては面白かったのですが、後半はちょっといらんな~と思う部分があったり。
70話もあるので、ずっと宮廷にいるのも間延びしそうだし、一度外に出るのは良いとして、知微が記憶喪失になり二度目の婚姻なんて不要。そもそも赫連錚だけでも十分なのに、次々と新たな登場人物が小出しにされて、ちょこちょこと事件を挟んでくるのが不要。
その辺りをもっとコンパクトにして、その分もっと寧弈と知微の別れに至るまでのシーンを丁寧にゆっくり描いて欲しかった。
でも意外な展開で寧弈が突如皇帝になるシーンは緊迫感があり夢中で観ました。
前半の頃の寧弈なら純粋に喜んだでしょうけど、今となっては切なさしかなく、自分が皇帝になってからはますます父陛下と同じ雰囲気になり、横暴に見える瞬間もあったり。
でもそこがこのドラマの描きたかった部分でもあり、父陛下が言うように情と義は捨てなければならない皇帝の孤独さなのでしょうね。
最初から悲恋のオーラに包まれたドラマだったので、ラストは寧弈か知微のどちらかが死ぬのは覚悟していました。とはいえ、その前にもっと感情を伝えあい愛し合うのかと思っていたのですが、最終話の静けさがあまりにも悲し過ぎます。
ドラマとしては最高の終わり方、そしてこのドラマらしい静かで情緒的なラストだと思いますが、やっぱり本音はハッピーエンドになって欲しかった。理屈はどうでもいいから二人が夫婦になる姿が見たい。知微が生きていました!のシーズン2をやって欲しい…。
鳳凰の飛翔 OST
鳳凰の飛翔 メイキング
↓カットシーンも含まれていますが、ノーカットで観てみたい!
↓仲良さげで可愛い二人
まとめ
しばらく引きずりそうな程、このドラマの世界にハマりました。内容が濃い上に美術も演技も素晴らしくて、かなり完成度が高いです。普段中国ドラマが苦手という方でも、華ドラにありがちなファンタジーや安っぽい演出が無いので見やすいと思います。是非多くの人に見て欲しいドラマ!
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(本記事の画像引用元全て:Netflix)